青い空の憂鬱

あなたを大好きだという感情
毎日会えるのに
毎日がただ切なくて
教室の窓から見える
春の日差しも
グランドに響く声も
いつもの景色
変らない風景
青い空の憂鬱

授業の終わりを知らせるチャイムの音
みんな一斉に
教室を飛び出し校庭へ
小鳥のように飛び立つけど
私の視線は
ひたすらあなたの背中を
今日も追い駆ける
でもあなたは遠い
そんな痛い存在

どうか振り向かないで
私に気づかないで

胸の中に仕掛けられた
爆弾が今にも爆発しそうで
あなたに気づかれそうで恐い
一秒でも早く離れなくちゃダメなのに
あなたしか見えない
あなたの足音
あなたの笑い声
ほかは何も聴こえない

いろんな思いが駆け巡る
私はただの臆病者
傷つくのが恐くて
あなたに好きだと云えない
あなたの前だと
頭の中が
真っ白になるし
何も云えなくなる

どうか何も聴かないで
私を見ないで

爆発寸前の胸の「爆爆」が
あなたに聴こえそうで恐い
一秒でも早く逃げなくちゃダメなのに
あなたの傍にいたい
あなたの横顔
あなたの仕草
ほかは何も見えない

いろんな思いが駆け巡る

どうか振り向かないで
私に気づかないで

あなた足音
あなたの笑い声
ほかは何も聴こえない

どうか何も聴かないで
私を見ないで

あなたの横顔
あなたの仕草
ほかは何も見えない





             ―紫紅草―

月の海

光に満ちたうすら藍い夜空に浮かぶ
白い月の輝き

月明かりの儚さに風が木の葉を揺らし
舞い落ちる音が

私をひとり
今宵の果てまで連れてゆく…

冷たい風に包まれた
寂しい孤独に追いやられ
星が描く細く淡い光の道を歩き続ける

このまま
どこまでも どこまでも
静かに漂っていたい

このまま
いつまでも いつまでも
陽炎のように揺れていたい

誰にも気付かれず
誰からも晒されず

ひとり
深く… 深く…
月の海へと
    沈んで ゆきたい

ひとり
深く… 深く…
月の海へと
    堕ちて ゆきたい


光に満ちたうすら藍い夜空に滲む
白い月の海

月明かりの儚さに風が木の葉を散らし
舞い落ちた音が

私をひとり
星空の果てまで連れてゆく…


  
            ―紫紅草―

虚しい愛

孤独な心は
あなたを忘れるためのワイン
投げて粉々に砕けたグラスは
心に蔓延り私を
イタブリ
キリキザム から
いくら飲んでも
どんなに酔っても
あなたの心はもう戻らない

あなたは
私が死のうが生きようが
どうでもイイんでしょ

「今すぐに来て!」
「今すぐに来て!」
「今すぐに来て!」

返信のない携帯握って
いくら苛立っても
どんなに叫んでも
あなたの愛は もう掴めない

「私を甘く見ないで!」
「私を甘く見ないで!」
「私を甘く見ないで!」

返信のない携帯鏡に映る泣き顔に投げつけ
いくら喚いても
どんなに縋っても
あなたの愛は もう帰らない

それでも

それでも

あなたの胸の温もりが忘れられなくて
不様な現実に見下されながら
キズツケラレ
ズタズタ二サレ ても

虚しい涙は
あなたを忘れるためのワイン
胸が苦しくて息ができないの
崩れ堕ちた愛に
イタブラレ
キリキザマレ ても
あなたを愛した罪
あなたを欲しがる罪
地獄で受けるから
私を捨てないで…
私を壊さないで…

あなたに会いたい罪
あなたに抱かれたい罪
地獄で受けるから
私を捨てないで…
私を壊さないで…





     
            ―紫紅草―

あだ波

さざ波の泣き声を聞きながら
追い駆けては逃げる波間を独り歩く
数えきれない辛い事や悲しい事
どんなふうに棄てればいいのかな…
潮風が…
そんな私を優しく包むから
涙になってはおちていく寂しさが
心に降り積もり温もりに変わる時

本当は笑顔の私でいたいのに
我儘な自分に気づきながら
涙に濡れた頬を撫で
いつまでも いつまでも
海にいだかれ 風にいだかれ


雲の隙間から零れ落ちる日差しが
波間に満ちて溶けていくのを眺めていた
数えきれない苦しい事や切ない事
どうやって忘れたらいいのかな…
潮風が…
そんな私をなだめ抱きしめるから
涙になって押し寄せる小さな波が
胸の中で鳴り続け優しさに変わる時

行き交う波はひと色のいばら道
さざめく思いは潤んだ潮騒
自分を責める虚しい胸を
いつまでも いつまでも
空にゆだね 雲にゆだね


             


             ―紫紅草―

翳み

咲いたばかりの花が風に散る時
乾いた青い空を眺める君が涙するなら
うなだれ木洩れ日にまじわり
果かなげに映ろう君へ
私は駆けより
木陰に揺れながら消えゆく時の狭間で
君の傷ついた心にそっと口づけして
震える肩を抱き寄せる

もしも君が望むなら
今すぐにでも旅立とう
今日が明日に続く未来なら
今日私は君へと続く未来になろう


咲いたばかりの花が雨に散る時
濡れては翳める空を眺めて溜息する
疼く胸にそのか細い指をうずめて
果かなげに映ろう君へ
私はより添い
眼に見えるものだけが凡てでは無い事
君が何処に居ても必ず見つけ出す
決して独りでは無い事伝えたい

もしも君が願うなら
今すぐにでも旅立とう
今日が明日に続く未来なら
今日私は君へと続く未来になろう





                  

                  ―紫紅草―

哀しみのカオス

何も思わず
何も考えず
何も知らず
そんな風に生きて
ただ時間さえ過ぎれば
あれ程夢中に想っていた
君のことも
いつか忘れて
この痛みさえ
優しさに変えられるだろうか

恋しさも
哀しさも
君の微笑みさえも

愛しさも
淋しさも
傷ついたことさえも

この胸の奥の
カオス拭えば
いつか笑える時が来るだろうか

だけど…
 きっと 僕は…

たとえこのまま永遠の別れが訪れ
何億年の時を彷徨っても
きっとまた君を求めてしまうだろう
君を抱いて眠り続けるだろう

君が言った「さよなら」が
今もこの胸を突き刺す
冷たい棘のまま…


何も悔やまず
何も悩まず
何も迷わず
そんな風に生きて
ただ呼吸だけしていれば
あれ程夢中に想っていた
君の記憶も
いつか薄れ
この苦しみさえ
想い出に変えられるだろうか

僕が叫んだ「愛してる」が
今もこの胸を突き刺す
冷たい棘のまま…

終わりのない…
哀しみのカオス…
今も君を抱いたまま…


            

                ―紫紅草―

ロンリネス

昨日までの私と
明日からの私が
世知辛い世の中で
迷路のような未来へ
錯覚しながら千鳥足
活きてみたり…
死んでみたり…
そんなロンリネス
歯がゆさだけが心を蝕む

仕事もイヤ
家事もイヤ
人もイヤ
こんな憂鬱
砂埃を思いっきり吸い込んだ気分の
ジレンマ
刹那刹那に歪んだ心

昨日までの私と
明日からの私が
悪夢のような邪悪な世の中で
不安だらけの未来へ
重い十字架背負い千鳥足
あがいてみたり…
もがいてみたり…
そんなロンリネス
苛立ちだけが心を蝕む

仕事もイヤ
家事もイヤ
人もイヤ
そんな憂鬱
生きていく難しさ血が滲むほど
噛みしめた
刹那刹那に荒む心





                      
                    ―紫紅草―

「時感」

冷たい雨を落とす今日の空
いつまでも心にいるあなたが
そっと振り向き
微笑むから
私はただ切なくて
また傷ついてしまう
曇った窓ガラスにあなたの名前書いて
過ぎ去った「時感」に留まり続けた…

「時感」だけが止まったこの部屋で
窓を開け放ち私は風になる
淋しいこの街で
偶然でもいいから
あなたに会いたくて
冷たい雨が降る今日の街を彷徨い
あなたと同じ薫り探してはときめく…

冷たい雨を落とす今日の空
私の心に今も息づくあなたが
暖かな手で
私を抱いて
頬に口づけして
優しく髪を撫でる
まだあなたを思い出になんかに出来ないわ
あなたを思うたびに募る愛が苦しくて…

まだあなたを思い出になんかに出来ないわ
あなたを思うたびに募る愛が辛すぎて…





                   ―紫紅草―



                   

ナル…「僕たちの日々」…シスト

君と二人で生きていく日々なら
風のような涙色に染まりながらがいい
たとえば初めて感じた愛という海に溺れた時のような
したたかな期待にしがみつく自分に気づいた時のような
孤独な折れた心を震えながら強く抱きしめた時のような
そんな儚げに泣ける日々がいい…


君と二人で朝を迎える日々なら
夜空に描いた星のストームに呑み込まれながらがいい
たとえば激しいキスの後の咽あがる熱情のような
そしてあだやかに潤む君の瞳を視てる時のような
君の白い肌に赤く咲いた愛という名のいにしえに埋もれた
エキゾチックに夢見る日々がいい…


君と二人で生きていく日々なら
風のような涙色に染まりながらがいい…

君と二人で朝を迎える日々なら
夜空に描いた星のストームに呑み込まれながらがいい…                         

                         
                     

                        ―紫紅草―

青葉の頃

君と いた
青い 春の日
暖かな日差しに包まれた
君の ほほを
僕はそっと 撫でた
熱く溢れる君への思いは
息苦しく
狂おしく
甘く切ない
この胸を焦がす嵐

歩き慣れた
小道に咲く花に微笑み
戸惑いながら
恥らいながら
君は僕と手をつないだ

君の小さな肩が触れるたび
容も無く燃え上がる僕の思いは
朱く揺らぎ高鳴り続ける

君と いた
青い 春の日
とぎれとぎれにまじわる吐息
君の かおりを
風は運び ときめく
熱くこみ上げる君への気持ちは
やるせなく
愛おしく
抑えられない
この胸を焦がす嵐

歩き慣れた
川のほとり囀る小鳥たち
君がいてくれたら
何もいらない
何だって乗り越えられる

「もう少し歩こうか…」僕にうなずいた
君の長いまつ毛が光に滲んで
思わず抱きしめたくなる


君と いた
青い 春の日
暖かな日差しに包まれた
君の ほほを
僕はそっと 撫でた






               ―紫紅草―

「夢の屍」 君が…僕が…

何者でも無い
廃墟に埋もれた夢の屍

生れては果てる魂の証たち
悴んだ両手に余る悲しみが苦しが
少しづつ・・・少しづつ・・・
涙になって
消えていく夜

「ごめんね」
そうささやく僕が
君が
今夜
崩れていく

何者にもなれず
ただ漂いさまよう風になるなら

抱き始めた希望に散った魂の証たち
拒むかのようにすべてから見放され
かすかに・・・かすかに・・・
その姿変え
溶けていく夜

「ゆるして」
そう乞う君が
僕が
今夜
壊れていく

何者でも無い
廃墟に埋もれた夢の屍

「生きていたい」
そう願いながら僕が
君が
今夜
砕けていく

          
           ―紫紅草―

巷の「ゲロゲロ」

私がもの心が湧いた頃かどうかは今更さだかではないけれど…
大人の会話で「猫の額程の畑がありますから…」と聞いた時
本当にそんな畑があるのだろうか…??」と本気で見てみたいと思ったことがあった。
後で事実を聞いて「どうしてそんなウソを大人はつくんだろう…]と不思議だった…w

「微笑み」

白い雪に包まれた
冷たくて優しい
朽葉色の空

あなたが淡く吐く
柔らかな吐息は
わたしに微笑み
愛しさを教えてくれた

哀しい音をたてて
消えていく風が寂しくて
ただあなたに宵縋り
見つめていたの

あなたは
冷たくなった
わたしの手を
そっと握って
ポケットに入れた

細くなった目を
もっと細くして
微笑んだあなたは
わたしを幸せ色に染める

小枝にふわり積もった雪に
唇を寄せて息を吹きかけた
一瞬の白い嵐
舞い散る雪の華びら

日だまりにとどまり
眠る切ない風の音
消えてはまた熟まれ来る
儚い雪の夢

白い道に堕ちる
ふたりの足跡に
振り返り…振り返り…
わたしは別れを告げる

今日の…

白い雪に包まれた
冷たくて優しい
朽葉色の空

あなたが淡く吐く
柔らかな吐息は
わたしに微笑み
愛しさを教えてくれた





              


                    ―紫紅草―

誰からも奪われないための「うた」

心のまま
言葉をしたためた
ありのままの
現実の嵐に
ミたされながら
眠った廃墟な夜

月並みな言葉では
僕は何も変わらない
ペットボトルに残った
見え透いた君の嘘が
喉の渇きを潤し流れて
飲みほしたその瞬間が
いたたまれ無くなるように

シビアな夢でも見てようか
さらされながら生きていく影
誰からも奪われない「うた」のために
聴こえない声を張りあげ
叫ぶ
midnight blue
君がそう呼ぶなら
僕が信じるよ


かけがえない
時間をリセット
せきタてられた
気分をダウンさせ
黒くざわめく
「自由」にふけった

月並みの言葉では
僕は何も変わらない
ひねくれたり拗ねたり
そんな喰えないものも
見かけ倒しな青春の試練って
曖昧な言い訳もまた
果ては自分を守るため

シビアな夢でも見てようか
さらされながら生きていく影
空回りした想定外の現実
リアルなハートはセンセーション
そんな
midnight blue
君がそう言うなら
僕が信じるよ






                ―紫紅草―

リプライ

何度も…
何度も…
聞き返した
でも…

何度も…
何度も…
応えられずに
いた…

わたしを観ていた
ほのかな薄化粧の晩花

最後に散った鮮やかな花火さえもが
「生きていていい…」って
どうして教えるの?

何度も…
何度も…
聞き返した
でも…

何度も…
何度も
応えられずに
いた…

すべてを許される
優しい言葉が流れ
こころを溶かすから

憎まなくても…
厭わなくても…

信じられなくても…
認められなくても…

そのままのあなたで生てくれるなら
ずっと泣かずに生てくれるなら
と…

応えなんて捜さずに生てくれるなら
ずっと何も問わず生てくれるなら
と…

言葉をぶつけるなら

どうか疑わずに…生て
終りが来るその日まで

わたしを捨てずに
わたしを諦めずに

これ以上

どうか悲しまないで…生て
苦しまないで…生て




              ―紫紅草―