突然私の視野に入ってきたこの人は
何の躊躇も無く私に熱い視線送り
「君、名前何て言うの？」ってピックアップライン
実はこの人常に女の子が傍に居て
偶然見かけるたびに違う子を連れて歩いてる
呆れ顔の私横目にジワジワ近寄って来た
「驚かせてごめんね、君が可愛くて…」ってキモイ
歯が浮くようなキザなセリフを私に浴びせ
無理やり心のドアこじ開け土足で入って来た
いつもの私なら無視のねじ伏せで終了のはず
なのにどうした私金縛りに合ったみたいなア然
この人のペースに引きづり込まれてるじゃん止めてよ！
在り得ない想定外の現実に自己逃避か
私が握り締めてたスマホいきなり取りあげ
勝手に人の電話番号を盗んだ挙句に
不気味な微笑み浮かべ逃げるように去って行った
一体何なの？胸がドキドキ足はガクガク
いやだ絶対ブロックしてやる！あっ番号が無い…
私はもうそう簡単に恋に堕ちたりしない
桜の花びらが舞い落ちる並木道を独り
青い空仰ぎ歩く姿を空想できるし
降りしきる雪空を見上げた私の頬霞め
溶けて消える冷たい雪だって想像できる
時に友達の恋の悩みだって聞いてあげる
でも本当の私は冷めててクール過ぎるって
周りがどんなふうに言っても私気にしないよ
「分かってた、そんな気がしてたんだ」と笑えば終わり
くるりと背を向け黒髪が風になびいた瞬間
平気なふりも強気な笑顔も消えてしまうけど
張り詰めた気持ちに「大丈夫」と独り言呟くの
私はもうそう簡単に恋に堕ちたりしない
傷つく恋に疲れ果てた去年をやっと卒業
今が楽しければそれでいいだから誰も愛さない
本来の私に戻ったって友達が言ってくれるし
「ありがとう友よ！」クールな私お帰りなさい！
スマホが鳴ってる「誰この人？もしもし…」げっ！アイツだっ！
ー紫紅草ー
