エンシェントの翳り

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緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる

不意に
君の手を取って
肩を抱く「幻」

青い地平線
僕の遠い時間が君をまた追い駆ける
光の風が君の長い髪を揺らして
とても眩しかったんだ

過ぎ去った思い出ばかりが
僕の心を振るわせ
消える事のない哀しみが
僕の中で生きずき
甘く切ない棘になる

胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ


陽だまりを歩く並木道
振り返りざまによぎるあの日
突然「さよなら」のメモに
部屋を飛び出し夢中で追い駆けた

不意に
涙する君を
抱きしめた「幻」

雨に濡れたあの時
どんなに叫んで君を呼び止めても
何も変わらないこと痛いほど解かっていたんだ
ただ君の背中 見ていた

傷ついた思い出ばかりが
苦しさを募らせ
消える事のない痛みが
僕の中で疼き
悲しくやるせ無い棘になる

身を焦がす想いだけが
見えないエンシェントの翳り
胸をえぐるよ


緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる

胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ



             ―紫紅草―