陽だまりのコサージュは可憐
北へ向かう船に飛び乗る潮風のように
しなやかな嘘を吐き急ぎに無口になるから
あなたと過ごした軽い紅茶の湯げに似た
甘い香りが撚れる今日の午後に
私は旅立つ・・・
別れのメモをテーブルに置いた
翳りを落したポインセチアには
あなたの温もりと戯れたわたしと
愛を添えた花言葉を一輪
残して行くから・・・
「愛してた・・・
心から・・・」
ひっそりと音を失くした
冷たい陽だまりのコサージュ
私の中のあなたへ「さよなら」と
描きながら呟いた・・・
−紫紅草−