秋の匂いがするルージュ
記憶の引き出しに
仕舞いこんでいた想い
ふいに湧いてきた
あの日
ここにいて…と呟いて
泣いた…
涙で歪んだ景色
零れ落ちていく
それだけで
「キュン」…胸が泣る
恨んだわけでも
憎んだわけでも
ない
嫌いになれない彼が
今も頭の隅で微笑む
秋の匂いがするルージュ
小指で塗ってみる
鏡にうつる私の
刹那は溢れだす
あの日
ここにいて…と呟いて
泣いた…顔
涙で歪んだ景色
零れ落ちていく
それだけで
「キュン」…胸が泣る
恋しいわけでも
愛しいわけでも
ない
いつまでも変わらない笑顔が
懐かしいわけでも
もどかしいわけでも
ない
続きのない追憶のつめ痕
涙で歪んで見える
鏡にうつる顔
それだけで
「キュン」…胸が泣る
ー紫紅草ー
