別れの言葉も
無く
去ってゆくにあなたに
ひと言ふた言
つぶやく
吐息のように零れ堕ちる言葉も
渇いた風が消してしまう
曇りガラスの
向こう
離れてゆくあなたを
よどんだ
景色が少しずつ霞んでいくうちに
そっとあなたを消してしまう
立ち止まり振り向くあなたの姿を
心の中の霧が隠してしまうことが
無性に怖くて…
泣いたりしない嘆いたりもしない
答えを探せないままの私の恋が
無性に辛くて…
優しく流れるあの雲に手をひかれ
碧い道を歩いた…
最後の一瞬ぐらい見つめていて欲しかった
何も考えずただ側に居させて欲しかった
いきなり居なくなるなんて…
ズルい…
最後の一瞬くらい心をあずけて欲しかった
愛を請うのではなく守るためだけの恋を
いきなり捨ててしまうなんて…
ズルい…
ー紫紅草ー