ある夕暮れ・・・
せせらぎの声を聴いた
錆びついた空の 茜色の谷間から
枯れた木々に ころげ落ちては うめく明かり
凍りついた 胸の中の嗟嘆が
キシキシ音をたて 溶けてく感じ・・・
あの人は まだ覚えてるかな
私のこと・・・
黒く塗りつぶした 記憶が
胸の中を むさぼり始めた
いつしか 忘れたふりをして
何もかも 捨ててしまいたいと
呟くような 息を荒立てて
吐き捨てた 愛
あの人は もう忘れたかな
私のこと・・・
愛から生まれた 憎しみ
掴んだ手を 振り払い
何処までも 逃げ続けた
見えない愛は 諸刃のつるぎ
振りかざす瞬間 身も心も
傷つけあった ふたり
ある夕暮れ・・・
せせらぎの声を聴いた
錆びついた空の 茜色の谷間から
枯れた木々に ころげ落ちては うめく明かり
こびりついた 胸の中の憎悪が
カラカラと音をたて 朽ちていく感じ・・・
―紫紅草―