夕べの雨で濡れた空 鳥が囀り木の葉を揺らし 小さな雫を散らして飛び立つ あなたと一緒に歩いた石段に 今年も咲いた紫陽花の花 それは薄紫の儚い言の葉
あなたが居た日にはもう戻れないんだね 傷ついた心の破片が残した あの人との思い出を胸に抱いたまま 涙の海に落ちた私は それでも声が聞きたくて あなたが残したボイスメールを 繰り返し繰り返し聞き続けた ミルク色の風が吹くと 零れる陽射しはまたまどろみ 雲の切れ間から降りそそぐ雨が あの日の二人を描きはじめる 私の待ち受けで笑ってるあなた どんなに願おうとも叶わない愛も
ふたりが居た日にはもう戻れないんだね 相合傘ではいつも肩を寄せ合い 私が濡れないよう抱き寄せてくれた 色褪せない思い出のぬくもり だから尚更感じていたくて あなたとのLINEひと言ひと言 何度も何度も読み返した ー紫紅草ー