「自責」
邪悪な天使ールシフェルー
―「花夢」―
黒い真実
茜
ある夕暮れ・・・
せせらぎの声を聴いた
錆びついた空の 茜色の谷間から
枯れた木々に ころげ落ちては うめく明かり
凍りついた 胸の中の嗟嘆が
キシキシ音をたて 溶けてく感じ・・・
あの人は まだ覚えてるかな
私のこと・・・
黒く塗りつぶした 記憶が
胸の中を むさぼり始めた
いつしか 忘れたふりをして
何もかも 捨ててしまいたいと
呟くような 息を荒立てて
吐き捨てた 愛
あの人は もう忘れたかな
私のこと・・・
愛から生まれた 憎しみ
掴んだ手を 振り払い
何処までも 逃げ続けた
見えない愛は 諸刃のつるぎ
振りかざす瞬間 身も心も
傷つけあった ふたり
ある夕暮れ・・・
せせらぎの声を聴いた
錆びついた空の 茜色の谷間から
枯れた木々に ころげ落ちては うめく明かり
こびりついた 胸の中の憎悪が
カラカラと音をたて 朽ちていく感じ・・・
―紫紅草―
星屑のアビス
君の面影を いだいた夜
星の涙が 夜空をつつみ
窓辺を飾る おぼろげに咲いた月は
星の海に 小舟を浮かべた
君をのせ
星の波間を オールが切る
いつまでも
消えない君の ほほえみに
僕の胸は 高鳴り
いつまでも
忘れられない
君の面影を 抱いたまま
このまま永遠に
眠れたなら・・・
切なく降りつもる 「夢」のカケラ
静かにみちる 星屑の時が
君にそそがれ 儚げに消えていく
星の海を 渡る小舟に
君はいない
震える指が オールを放つ
いつまでも
淡い夢に流され
哀しみに溺れ 目覚めた僕は
いつまでも
苦しくて
消せない思い 抱いたまま
陽炎のような
アビスに堕ちる・・・
ー紫紅草ー
霞
もみ消したばかりの煙草に火をつけた
くたびれたTシャツにすり減ったサンダル
晴れた空の死角に埋もれた虚しさ
誰もいない繁みに霞ながら生きてく
ぼんやりと眺めた見慣れた風景
始め方も終わり方も解らなかった ウブなあの頃
へしゃげてつぶれた 小便臭い夢とやら
涸れるまで 泣け
嗄れるまで 叫べ
も一度 もう少し もう一歩
そう思いながらしがみついた継ぎはぎだらけの人生
胸ん中に空いた地獄を這う
どんなにブザマでも
どんなにミジメでも
それが俺だから
それが俺なんだ
道端に転がったあき缶蹴飛ばして風を切った
不公平な世の中に見捨てられた人生
繰り返す悔しさ 拳で叩きのめし
滲んだ涙は幾度も容を変えこの胸をエグり続ける
言い訳も弁解もしないから見逃してくれ
見知らぬ誰かの温もりに飢えながら
ただ人混みに消えてしまいたかった
涸れるまで 泣け
嗄れるまで 叫べ
も一度 もう少し もう一歩
そう信じながらしがみついた継ぎはぎだらけの人生
このまま終わる訳にはいかない
どんなにブザマでも
どんなにミジメでも
それが俺だから
それが俺なんだ
―紫紅草―
じ・えんどがコワくてじ・えんど
騒々しい毎日から抜け出して
今にも泣き出しそうな空見上げたのは
わざと君を傷つけソッポを向いてしまった
昨日の僕の幼稚な愛情表現を諌めた後悔
本当は君のことが大好きでたまらなくて
こんな手に余る感情がささくれた僕の心の中の
本当の嘘がガタガタ音を立てて崩れていくよ
かたっぱしから手をつけて自滅しそうな片思い
僕の明日は遠い
正直になるって難しいよ
そんなしわ寄せの毎日に空回りして
ただオロオロ迷っている間に
どこかの馬の骨に君を掻っ攫って行かれそうで
じ・えんどがコワくてじ・えんど
本当は君のことが大好きでたまらなくて
叶わない恋に悩んで病んで言葉にもならなくて
ずぶ濡れの心に鍵をかけ何処にも逃げられない
何処にいても何をしていても君が恋しくて苦しい
僕の明日は遠い
正直になるって難しいよ
明日は来ても君の顔を見た途端に
また心にも無い事口走りそうな恐怖
臆病で情けなくてつい墓穴を掘ってしまう
じ・えんどがコワくてじ・えんど
正直になるって難しいよ
そんなしわ寄せの毎日に空回りして
ただオロオロ迷っている間に
どこかの馬の骨に君を掻っ攫って行かれそうで
じ・えんどがコワくてじ・えんど
―紫紅草―
エンシェントの翳り
緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる
不意に
君の手を取って
肩を抱く「幻」
青い地平線
僕の遠い時間が君をまた追い駆ける
光の風が君の長い髪を揺らして
とても眩しかったんだ
過ぎ去った思い出ばかりが
僕の心を振るわせ
消える事のない哀しみが
僕の中で生きずき
甘く切ない棘になる
胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ
陽だまりを歩く並木道
振り返りざまによぎるあの日
突然「さよなら」のメモに
部屋を飛び出し夢中で追い駆けた
不意に
涙する君を
抱きしめた「幻」
雨に濡れたあの時
どんなに叫んで君を呼び止めても
何も変わらないこと痛いほど解かっていたんだ
ただ君の背中 見ていた
傷ついた思い出ばかりが
苦しさを募らせ
消える事のない痛みが
僕の中で疼き
悲しくやるせ無い棘になる
身を焦がす想いだけが
見えないエンシェントの翳り
胸をえぐるよ
緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる
胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ
―紫紅草―
密かな夜
密かな夜
甘い霧が覆う月明かりが
雨上がりの石畳に沁みる
あなたが居ない夜なんてキライ
あなたが好きな歌を聴きながら
長い夜を独り彷徨うなんてキライ
キライ…
着けたばかりピアス
片ほう失くしたような夜
悲しい…音を荒げ
誰かが…心臓の中で
泣きじゃくってる…
感じ…
燻る不安が淋しさが
わたしに溢れ紫の吐息が揺り起こす
「恋しさ」がハラハラ舞いおちる夜
密かな夜
甘い雫が漂う月明かりが
雨上がりの石畳に沁みる
私の手があなたの温もりを憶えてる
優しさも淋しさも切なささえもが
記憶と一緒に儚げに蘇えるその
一瞬…
もうあなたに会いたいよ
声が聴きたいよ甘えたいよ
寂しい…音を荒げ
誰かが…心臓の中で
泣きじゃくってる…
感じ…
時間はスローモーション
ベルフラワ―の花びらが舞う
泣かない約束守れなくてゴメン
もっと強くなりたい
愛されるだけじゃない
「愛」溢れた愛であなたを守りたい
もうあなたに会いたいよ
抱きしめてほしいよキスしたいよ
密かな夜
甘く切ない月夜の風がふく
雨上がりの石畳に座り
膨らみ始めた紫陽花の花の
小さな小さな蕾が落とす涙
胸の中でずっとあなたに言えない言葉が
こ魂する…
「愛してる」…
「哀してる」…
「逢いシテル」…
―紫紅草―