ひと目惚れ

暖かな陽差しのなか君を見つけた
出会いの瞬間 僕の時間は止まり
君一色の世界を漂う       
「運命」なんて信じなかった   
ましてひと目惚れ?有得ない  
今 目の前の現実でさえ     
うまく受け入れられないのに   
 
通り過ぎていく 君の笑顔が   
僕の肩越しを花びらみたいに 揺れて散っていった
 
二度目に偶然君と出会えた時は
驚いて心臓が止まるかと思った
不確かな「運命」の歯車が
膨らんでいく想いに加速して
身体の血が逆流しそうで  
胸が張り裂けそうになったんだ
このまま終わらせてもいいのか
 
始ってもない君との出会い   
終わらせたくない熱くなる胸に 僕は誓った
 
出会った場所に何度も足を運んで
会えない君の面影を追い続けた
何時間 何日 何週間      
「運命」が崩れかけたその時  
立ち止まった信号機の向こう  
淡い陽ざしに包まれた
長い髪の君が居たんだ
 
僕は信号が変わるのを待った
そして何も知らない君が歩道を 渡って来るのを
 
僕に迷っている時間は無かった                              
君が歩く道を一緒に歩きたかった
君との距離が縮んでいくようで
僕は本当に幸せだった
静かな郊外の街並みが
二人の吐息で満ちていくのを
ただ感じていたかった
 
やがて君はホワイトモダンの
綺麗な花が咲く広い庭へと 消えて行った
 
 
ひと目惚れから始まった
「運命」の出会い
片思いだけじゃ終わらせない
僕の命懸けの恋・・・
 
 
                
 
                            ―紫紅草―
 
 
 
 

「自責」

見たことのない景色
細くくねった砂利道を歩く
風に舞う砂埃を吸いながら
何処までも続くその道の果てに
漠然と意味のない期待をよせた
 
乾いた心を流れる
うつろな感傷
心が壊れそうで
「いにしえ」が弄ぶ
せつない感傷
 
泣いた日もある
つらくて死を思う日もある
いつだってそう
35階建てのビルの屋上が
私の脳裏を埋め尽くし
長めに丸めたロープは
常にそばに落ちている
 
胸に飼う不幸
一度くらい
熱くなるほど
幸せを感じたい
一度くらい
羨望な眼
他人から見られたい
 
 
見たことのない景色
スモークブルーの空見上げ
長い道のりの果てに着いた
出口の見えないトンネルの前で
うずくまる自分がいた
 
虚しい心を流れる
うつろな感傷
誰でもいい傍に居て
「淋しい」となげく
せつない感傷
 
泣いた日もある
つらくて死を思う日もある
いつだってそう
35階建てのビルの屋上が
私の脳裏を埋め尽くし
長めに丸めたロープは
常にそばに落ちている
 
自分を責めたて
なじってみたり
泣いてみたり
無暗に傷つけ
哀れんでみたり
自分を欺き
呆れてみたり
 
 
昨日が今日が明日が
夢のように過ぎても
 
昨日も今日も明日も
本当の私を知らない
 
「自責」の中の嘘・・・
 
 
 
 
                          -紫紅草―

邪悪な天使ールシフェルー

霧を渡る船
闇夜を照らす月明かり
静かな波の濁る音
忍び寄る恐怖に脅え肩を震わせ
ついた ため息
川べりに船を捨て
草木をかき分け走り抜けた獣道
掻き毟るように目覚めたルシフェル
胸の中で燃え上がる
今この時を枷に 私の心を貪るなら
お前が堕ちる 地獄を裁こう
今この時を毒に 私の心を砕くなら
お前が下した 泥梨へ散ろう
 
何処からともなく
聞こえる獣の声
震える指が握りしめた
微かな希望死の恐怖暗がりに
足を取られ
谷へ転がり落ちる
血の餓えた月夜が照らす
それはとめどなく溢れた嗚咽
愛を切り捨てた感触
今この苦を餌に 私の身をやつすなら
お前が堕ちる 地獄を裁こう
今この苦を毒に 私の身を侵すなら
お前が下した 泥梨へ散ろう
 
胸の中の狂気は叫び続け
  心を切り裂く甘い夢に泣く
 
ルシフェル お前は
  誰の中にも棲みつく邪悪な天使
 
 
 
          
 
                             ―紫紅草―

―「花夢」―

枯木が芽をふき 蕾が生まれ
春の風はそよぎ いつしか開いた花は
晴れた空に未来を描き やがて散りゆき
君は過ごした 色とりどりの日々を
儚げに束ね 僕の胸へと届けた
たくさんの思い出 君が微笑む
 
君にありがとう
 心からありがとう
 
風に遊ぶ君の長い髪は謡う
愛したすべての「時」
愛したすべての「人」
 
僕が愛した君に捧げる
 それは「花夢」・・・
 
この喜びが 寂しさが
今日で終わり また明日で始まるのなら
 
友と約束を交わす 今の君が
いつまでも変わらず 幸せであってほしいと
その笑顔のまま変わらず 幸せであってほしいと
 
僕が愛した君に捧げる
 それは「花夢」・・・
 
僕に寄り添い 笑う君が
いつまでも変わらず 幸せであってほしいと
その笑顔のまま変わらず 幸せであってほしいと
 
僕が愛した君に捧げる
 それが「花夢」・・・
 
 
 
                        
                          
                      ―紫紅草―
 
 

 

黒い真実

変形した世の中に
変形した夢
信じあえず裏切られ
罵りあい傷つきあう
拭い捨てた犬畜生
 
変える必要もない
変わる余裕もない
背中で浴びたヘッドライトが
残酷な影をつくる
 
誰も信じるな
何も信じるな
ただひたすら
息をし
現実と戦うナマの魂になれ
見え透いた手の内も
踏み潰した期待も
実は吐き気を催すキツイ「孤独」
どうやらSサイズの明日は 
いばら道
 
走れ
走れ
もっと走れ
前を見て
走れ
走れ
もっと走れ
 
意味もない呪文が
今生きるカテになるなら
白黒の僕の心に
突き刺さる痛みさえ平気
 
変形した世の中に
変形した夢
信じあえず裏切られ
罵りあい傷つきあう
拭い捨てた犬畜生
 
心無い言葉では
何の慰めにもならない
今宵星空のハイウェイ
折れた翼ひろげた黒い夜
 
誰にも言うな
何も言うな
ただひたすら
息をし
真実と裏腹の嘘を匂わせ
命懸け今日を乗り切れ
胸に仕舞い込んだ奇跡
一歩踏み出せ焦るな軽く見られる
どうせSサイズの明日は
いばら道
 
逃げろ
逃げろ
早く逃げろ
振り向くな
逃げろ
逃げろ
早く逃げろ
 
意味もない呪文が
今生きるカテになるなら
どんなも嘘も結末も
突き刺さる真実さえ平気
 
     
 
             ―紫紅草―
 

ある夕暮れ・・・

せせらぎの声を聴いた

 

錆びついた空の 茜色の谷間から

枯れた木々に ころげ落ちては うめく明かり

凍りついた 胸の中の嗟嘆が

キシキシ音をたて 溶けてく感じ・・・

 

あの人は まだ覚えてるかな

私のこと・・・

 

黒く塗りつぶした 記憶が 

胸の中を むさぼり始めた 

いつしか 忘れたふりをして

何もかも 捨ててしまいたいと

 呟くような 息を荒立てて

吐き捨てた

 

あの人は もう忘れたかな

私のこと・・・

 

愛から生まれた 憎しみ

掴んだ手を 振り払い

何処までも 逃げ続けた

見えない愛は 諸刃のつるぎ 

振りかざす瞬間 身も心も

傷つけあった ふたり

 

ある夕暮れ・・・

せせらぎの声を聴いた

 

錆びついた空の 茜色の谷間から

枯れた木々に ころげ落ちては うめく明かり

こびりついた 胸の中の憎悪が

カラカラと音をたて 朽ちていく感じ・・・

 

                       

                         

                          ―紫紅草―

 

星屑のアビス

君の面影を いだいた夜

星の涙が 夜空をつつみ

窓辺を飾る おぼろげに咲いた月は

星の海に 小舟を浮かべた

君をのせ

星の波間を オールが切る

いつまでも 

消えない君の ほほえみに

僕の胸は 高鳴り

いつまでも 

忘れられない

君の面影を 抱いたまま 

このまま永遠に

眠れたなら・・・

 

切なく降りつもる 「夢」のカケラ

静かにみちる 星屑の時が

君にそそがれ 儚げに消えていく

星の海を 渡る小舟に

君はいない

震える指が オールを放つ

いつまでも

淡い夢に流され

哀しみに溺れ 目覚めた僕は

いつまでも

苦しくて

消せない思い 抱いたまま

陽炎のような

アビスに堕ちる・・・

 

  

                 ー紫紅草ー

 

 

 

「無白」

白い空の果て

「もや」のかかった

遠い記憶

薄茶色の眼をした 

あの人が

わたしに微笑む

微かに

甘い風が吹いた

 

儚くて 

 恋しくて

懐かしさが

胸につのる

遠い記憶

あの人の

「無白」の記憶

 

白い空の果て

「もや」のかかった

遠い記憶

青い芝に寝転んだ

あの人が

わたしを呼ぶ声

優しい

ぬくもりが包む

 

儚くて 

恋しくて

 愛しさが

胸に溢れる

遠い記憶

あの人の

「無白」の記憶

 

切なくて

寂しくて

哀しくて 

やるせ無い

遠い記憶

二人だけの

「無白」の時間

 

 

           ―紫紅草―

もみ消したばかりの煙草に火をつけた
くたびれたTシャツにすり減ったサンダル
晴れた空の死角に埋もれた虚しさ
誰もいない繁みに霞ながら生きてく
ぼんやりと眺めた見慣れた風景
始め方も終わり方も解らなかった ウブなあの頃
へしゃげてつぶれた 小便臭い夢とやら

涸れるまで 泣け
嗄れるまで 叫べ

も一度 もう少し もう一歩 
そう思いながらしがみついた継ぎはぎだらけの人生
胸ん中に空いた地獄を這う

どんなにブザマでも
どんなにミジメでも
それが俺だから
それが俺なんだ


道端に転がったあき缶蹴飛ばして風を切った
不公平な世の中に見捨てられた人生
繰り返す悔しさ 拳で叩きのめし
滲んだ涙は幾度も容を変えこの胸をエグり続ける
言い訳も弁解もしないから見逃してくれ
見知らぬ誰かの温もりに飢えながら
ただ人混みに消えてしまいたかった

涸れるまで 泣け
嗄れるまで 叫べ

も一度 もう少し もう一歩 
そう信じながらしがみついた継ぎはぎだらけの人生
このまま終わる訳にはいかない

どんなにブザマでも
どんなにミジメでも
それが俺だから
それが俺なんだ




          

                   ―紫紅草―

十字架

あなたとの想い出

笑顔も

私の髪を撫でる

大きな手も

悪戯な恋の魔法が

夜空を照らす

滲んだ今宵の月

霧の海に沈んでゆきたい

儚げな夢

冷たい吐息が涙になる

朽ちる命と一緒に葬ってしまいたい

胸に飾った祈りの十字架

指で愛しながら…

感じながら…

消えてゆけるなら…

今…

なにもかもすべて

すてて…

旅立ちたい…

消え去りたい…




            ―紫紅草―

じ・えんどがコワくてじ・えんど

騒々しい毎日から抜け出して
今にも泣き出しそうな空見上げたのは
わざと君を傷つけソッポを向いてしまった
昨日の僕の幼稚な愛情表現を諌めた後悔

本当は君のことが大好きでたまらなくて
こんな手に余る感情がささくれた僕の心の中の
本当の嘘がガタガタ音を立てて崩れていくよ
かたっぱしから手をつけて自滅しそうな片思い
僕の明日は遠い

正直になるって難しいよ
そんなしわ寄せの毎日に空回りして
ただオロオロ迷っている間に
どこかの馬の骨に君を掻っ攫って行かれそうで
じ・えんどがコワくてじ・えんど

本当は君のことが大好きでたまらなくて
叶わない恋に悩んで病んで言葉にもならなくて
ずぶ濡れの心に鍵をかけ何処にも逃げられない
何処にいても何をしていても君が恋しくて苦しい
僕の明日は遠い

正直になるって難しいよ
明日は来ても君の顔を見た途端に
また心にも無い事口走りそうな恐怖
臆病で情けなくてつい墓穴を掘ってしまう
じ・えんどがコワくてじ・えんど

正直になるって難しいよ
そんなしわ寄せの毎日に空回りして
ただオロオロ迷っている間に
どこかの馬の骨に君を掻っ攫って行かれそうで
じ・えんどがコワくてじ・えんど





                      ―紫紅草―

エンシェントの翳り

緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる

不意に
君の手を取って
肩を抱く「幻」

青い地平線
僕の遠い時間が君をまた追い駆ける
光の風が君の長い髪を揺らして
とても眩しかったんだ

過ぎ去った思い出ばかりが
僕の心を振るわせ
消える事のない哀しみが
僕の中で生きずき
甘く切ない棘になる

胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ


陽だまりを歩く並木道
振り返りざまによぎるあの日
突然「さよなら」のメモに
部屋を飛び出し夢中で追い駆けた

不意に
涙する君を
抱きしめた「幻」

雨に濡れたあの時
どんなに叫んで君を呼び止めても
何も変わらないこと痛いほど解かっていたんだ
ただ君の背中 見ていた

傷ついた思い出ばかりが
苦しさを募らせ
消える事のない痛みが
僕の中で疼き
悲しくやるせ無い棘になる

身を焦がす想いだけが
見えないエンシェントの翳り
胸をえぐるよ


緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる

胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ



             ―紫紅草―

密かな夜

密かな夜
甘い霧が覆う月明かりが
雨上がりの石畳に沁みる
あなたが居ない夜なんてキライ
あなたが好きな歌を聴きながら
長い夜を独り彷徨うなんてキライ
キライ…

着けたばかりピアス
片ほう失くしたような夜

悲しい…音を荒げ
誰かが…心臓の中で
泣きじゃくってる…
感じ…

燻る不安が淋しさが
わたしに溢れ紫の吐息が揺り起こす
「恋しさ」がハラハラ舞いおちる夜

密かな夜
甘い雫が漂う月明かりが
雨上がりの石畳に沁みる
私の手があなたの温もりを憶えてる
優しさも淋しさも切なささえもが
記憶と一緒に儚げに蘇えるその
一瞬…

もうあなたに会いたいよ
声が聴きたいよ甘えたいよ

寂しい…音を荒げ
誰かが…心臓の中で
泣きじゃくってる…
感じ…

時間はスローモーション
ベルフラワ―の花びらが舞う
泣かない約束守れなくてゴメン

もっと強くなりたい
愛されるだけじゃない
「愛」溢れた愛であなたを守りたい

もうあなたに会いたいよ
抱きしめてほしいよキスしたいよ

密かな夜
甘く切ない月夜の風がふく
雨上がりの石畳に座り
膨らみ始めた紫陽花の花の
小さな小さな蕾が落とす涙
胸の中でずっとあなたに言えない言葉が
こ魂する…

「愛してる」…
 「哀してる」…
  「逢いシテル」…



             

                 ―紫紅草―

星になった君

君に逢いたい
君に涙する
思いはせる時
優しい雨音に
ただ…
身を焦がし

かえらない
君がいた時間

立ち止まり
膝を抱え
泣き疲れ
また眠りに堕ち
ただ…
泣いた

もどらない
君といた時間

君が恋しい
君があふれた
尊い時間
木漏れ日が揺れ
日々…
切なくする

にどとない
陽だまりの時間

振り返り
留まり続け
目を閉じて
その温もりにうもれ
ただ…
泣いた

星になった

 君を…

  抱きしめた…




          ―紫紅草―

「−0」の音

風…
風がそよぐ音
光が虹み
鳥が羽ばたく音
草きが枯れあい
ざわめく音

…音

「−0」の音

怒りが
憎しみが
苦しみが
哀しみが
激しくうごめく音

日々に涙し
息る音
君の名をたどり
恋しがる心の音


雨…
雨が落ちる音
吐息がマざり
アスファルトに咲く音
青い空を覆う
暗雲の立ちこめる音

…音

「−0」の音

優しさも
寂しさも
喜びも
切なさも
傷つきながら藻掻く音

音に癒され
音に泣き
胸を抉る想い出にさえ
今なら自由になれる


音に背を向けて意きる
激しく反り合う靴音
やまない人の波紋が
冷ややかな視線に変る音

  …音

「−0」の音

  胸に冷たくササる…

「−0」の感情…




      
           ―紫紅草―