星屑のアビス

君の面影を いだいた夜

星の涙が 夜空をつつみ

窓辺を飾る おぼろげに咲いた月は

星の海に 小舟を浮かべた

君をのせ

星の波間を オールが切る

いつまでも 

消えない君の ほほえみに

僕の胸は 高鳴り

いつまでも 

忘れられない

君の面影を 抱いたまま 

このまま永遠に

眠れたなら・・・

 

切なく降りつもる 「夢」のカケラ

静かにみちる 星屑の時が

君にそそがれ 儚げに消えていく

星の海を 渡る小舟に

君はいない

震える指が オールを放つ

いつまでも

淡い夢に流され

哀しみに溺れ 目覚めた僕は

いつまでも

苦しくて

消せない思い 抱いたまま

陽炎のような

アビスに堕ちる・・・

 

  

                 ー紫紅草ー

 

 

 

「無白」

白い空の果て

「もや」のかかった

遠い記憶

薄茶色の眼をした 

あの人が

わたしに微笑む

微かに

甘い風が吹いた

 

儚くて 

 恋しくて

懐かしさが

胸につのる

遠い記憶

あの人の

「無白」の記憶

 

白い空の果て

「もや」のかかった

遠い記憶

青い芝に寝転んだ

あの人が

わたしを呼ぶ声

優しい

ぬくもりが包む

 

儚くて 

恋しくて

 愛しさが

胸に溢れる

遠い記憶

あの人の

「無白」の記憶

 

切なくて

寂しくて

哀しくて 

やるせ無い

遠い記憶

二人だけの

「無白」の時間

 

 

           ―紫紅草―

もみ消したばかりの煙草に火をつけた
くたびれたTシャツにすり減ったサンダル
晴れた空の死角に埋もれた虚しさ
誰もいない繁みに霞ながら生きてく
ぼんやりと眺めた見慣れた風景
始め方も終わり方も解らなかった ウブなあの頃
へしゃげてつぶれた 小便臭い夢とやら

涸れるまで 泣け
嗄れるまで 叫べ

も一度 もう少し もう一歩 
そう思いながらしがみついた継ぎはぎだらけの人生
胸ん中に空いた地獄を這う

どんなにブザマでも
どんなにミジメでも
それが俺だから
それが俺なんだ


道端に転がったあき缶蹴飛ばして風を切った
不公平な世の中に見捨てられた人生
繰り返す悔しさ 拳で叩きのめし
滲んだ涙は幾度も容を変えこの胸をエグり続ける
言い訳も弁解もしないから見逃してくれ
見知らぬ誰かの温もりに飢えながら
ただ人混みに消えてしまいたかった

涸れるまで 泣け
嗄れるまで 叫べ

も一度 もう少し もう一歩 
そう信じながらしがみついた継ぎはぎだらけの人生
このまま終わる訳にはいかない

どんなにブザマでも
どんなにミジメでも
それが俺だから
それが俺なんだ




          

                   ―紫紅草―

十字架

あなたとの想い出

笑顔も

私の髪を撫でる

大きな手も

悪戯な恋の魔法が

夜空を照らす

滲んだ今宵の月

霧の海に沈んでゆきたい

儚げな夢

冷たい吐息が涙になる

朽ちる命と一緒に葬ってしまいたい

胸に飾った祈りの十字架

指で愛しながら…

感じながら…

消えてゆけるなら…

今…

なにもかもすべて

すてて…

旅立ちたい…

消え去りたい…




            ―紫紅草―

じ・えんどがコワくてじ・えんど

騒々しい毎日から抜け出して
今にも泣き出しそうな空見上げたのは
わざと君を傷つけソッポを向いてしまった
昨日の僕の幼稚な愛情表現を諌めた後悔

本当は君のことが大好きでたまらなくて
こんな手に余る感情がささくれた僕の心の中の
本当の嘘がガタガタ音を立てて崩れていくよ
かたっぱしから手をつけて自滅しそうな片思い
僕の明日は遠い

正直になるって難しいよ
そんなしわ寄せの毎日に空回りして
ただオロオロ迷っている間に
どこかの馬の骨に君を掻っ攫って行かれそうで
じ・えんどがコワくてじ・えんど

本当は君のことが大好きでたまらなくて
叶わない恋に悩んで病んで言葉にもならなくて
ずぶ濡れの心に鍵をかけ何処にも逃げられない
何処にいても何をしていても君が恋しくて苦しい
僕の明日は遠い

正直になるって難しいよ
明日は来ても君の顔を見た途端に
また心にも無い事口走りそうな恐怖
臆病で情けなくてつい墓穴を掘ってしまう
じ・えんどがコワくてじ・えんど

正直になるって難しいよ
そんなしわ寄せの毎日に空回りして
ただオロオロ迷っている間に
どこかの馬の骨に君を掻っ攫って行かれそうで
じ・えんどがコワくてじ・えんど





                      ―紫紅草―

エンシェントの翳り

緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる

不意に
君の手を取って
肩を抱く「幻」

青い地平線
僕の遠い時間が君をまた追い駆ける
光の風が君の長い髪を揺らして
とても眩しかったんだ

過ぎ去った思い出ばかりが
僕の心を振るわせ
消える事のない哀しみが
僕の中で生きずき
甘く切ない棘になる

胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ


陽だまりを歩く並木道
振り返りざまによぎるあの日
突然「さよなら」のメモに
部屋を飛び出し夢中で追い駆けた

不意に
涙する君を
抱きしめた「幻」

雨に濡れたあの時
どんなに叫んで君を呼び止めても
何も変わらないこと痛いほど解かっていたんだ
ただ君の背中 見ていた

傷ついた思い出ばかりが
苦しさを募らせ
消える事のない痛みが
僕の中で疼き
悲しくやるせ無い棘になる

身を焦がす想いだけが
見えないエンシェントの翳り
胸をえぐるよ


緩やかな青い空
季節が優しい風に戯れ
木々に降りそそぐ陽射しは
僕の頬にセピア色の影をつくる

胸の中で繰り返す
君の笑顔に僕はまた
傷つくんだ



             ―紫紅草―

密かな夜

密かな夜
甘い霧が覆う月明かりが
雨上がりの石畳に沁みる
あなたが居ない夜なんてキライ
あなたが好きな歌を聴きながら
長い夜を独り彷徨うなんてキライ
キライ…

着けたばかりピアス
片ほう失くしたような夜

悲しい…音を荒げ
誰かが…心臓の中で
泣きじゃくってる…
感じ…

燻る不安が淋しさが
わたしに溢れ紫の吐息が揺り起こす
「恋しさ」がハラハラ舞いおちる夜

密かな夜
甘い雫が漂う月明かりが
雨上がりの石畳に沁みる
私の手があなたの温もりを憶えてる
優しさも淋しさも切なささえもが
記憶と一緒に儚げに蘇えるその
一瞬…

もうあなたに会いたいよ
声が聴きたいよ甘えたいよ

寂しい…音を荒げ
誰かが…心臓の中で
泣きじゃくってる…
感じ…

時間はスローモーション
ベルフラワ―の花びらが舞う
泣かない約束守れなくてゴメン

もっと強くなりたい
愛されるだけじゃない
「愛」溢れた愛であなたを守りたい

もうあなたに会いたいよ
抱きしめてほしいよキスしたいよ

密かな夜
甘く切ない月夜の風がふく
雨上がりの石畳に座り
膨らみ始めた紫陽花の花の
小さな小さな蕾が落とす涙
胸の中でずっとあなたに言えない言葉が
こ魂する…

「愛してる」…
 「哀してる」…
  「逢いシテル」…



             

                 ―紫紅草―

星になった君

君に逢いたい
君に涙する
思いはせる時
優しい雨音に
ただ…
身を焦がし

かえらない
君がいた時間

立ち止まり
膝を抱え
泣き疲れ
また眠りに堕ち
ただ…
泣いた

もどらない
君といた時間

君が恋しい
君があふれた
尊い時間
木漏れ日が揺れ
日々…
切なくする

にどとない
陽だまりの時間

振り返り
留まり続け
目を閉じて
その温もりにうもれ
ただ…
泣いた

星になった

 君を…

  抱きしめた…




          ―紫紅草―

「−0」の音

風…
風がそよぐ音
光が虹み
鳥が羽ばたく音
草きが枯れあい
ざわめく音

…音

「−0」の音

怒りが
憎しみが
苦しみが
哀しみが
激しくうごめく音

日々に涙し
息る音
君の名をたどり
恋しがる心の音


雨…
雨が落ちる音
吐息がマざり
アスファルトに咲く音
青い空を覆う
暗雲の立ちこめる音

…音

「−0」の音

優しさも
寂しさも
喜びも
切なさも
傷つきながら藻掻く音

音に癒され
音に泣き
胸を抉る想い出にさえ
今なら自由になれる


音に背を向けて意きる
激しく反り合う靴音
やまない人の波紋が
冷ややかな視線に変る音

  …音

「−0」の音

  胸に冷たくササる…

「−0」の感情…




      
           ―紫紅草―

君とともに

いつまでも
君は変わらないから
僕は平気さ
帰る場処があるから
君が悩んだり
苦しんだり
悲しそうに俯いたら
僕は生きられそうにないよ
小さな碧い星に咲いた
君の好きな白いカサブランカが   
風のような時間に霞み揺れている
心の奥に燻る夢をにぎりしめ
手のひらに滲んだ汗を
汚れたシャツで拭いた
そうだね今だけは
泣かないでいて
君がうなずいたら
僕は歩き出せる
君の手を握り
僕が生きられる
君がいるなら
生きていけるよ

解かってるさ
君が笑顔でいるから
僕は大丈夫
君の胸でくすぶる
物憂げな不安も
切ない思い出も
精一杯生きた証し
僕が歩くささくれたくねり道
僕の傷だらけの翼を
暖かな手でそっと抱いてくれる君
そして僕に優しく微笑む君と
ふたり心重ね赴くままに息よう
胸に抱いたカサブランカ
甘い香りをはなつ
そうだね是からは
ありのままの
リアルな嵐の中
僕は歩き出せる
君の手を取り
僕が生きられる
君とともに
生きていけるよ






            ―紫紅草―

恋人たちの海

オリオン・ブルーの空
潮の香りが満ちた夏の海
白い砂浜へふたり駆けだす
ビーチボールが眩しい
青い空を泳ぐ風に乗って
熱い太陽の日差しを浴びる
初めての二人の海に投げキッス
キラキラ光るオフェリアの波間に
私がそっと隠したあなたへの本当の気持ち
紅く熟れた愛の「トキメキ」あなたが見つけて
そして唇で…指で…感じて…
そして優しく…見つめて…囁いて…
ふたりだけの熱い夏に
ふたりだけの熱い海で


あなたの眼差しにキュン
ビーチパラソル揺らす潮風
海の甘い香り胸をくすぐる
白い波が隠した
「I love you」あなたにあげたい
太陽を翳した大きな手で
私の肩をそっと抱き寄せる
大切にしたい初めての気持ち
キラキラ青い夏に戯れながら確かめた愛
風にさらわれたボール追い駆ける私を
早く捕まえて…抱いて…感じて…
見つめあう瞳…そして…キスして…
ふたりだけの熱い夏に
ふたりだけの熱い海で






                 ―紫紅草―

今夜

たとえ今
君のこと
忘れることが
出来なくても
いつか平気で
思い出せる時が来ると
結び目のない
恋の糸引きちぎり
逃げ出した今日に
悲しいだけの
恋風が吹き荒れ
涙で濡れた頬を
力いっぱい叩いていった

涙流すのも今夜まで
君を想うのも今夜まで

傷ついた恋の
思い出が詰まった
心のフォルダ
震える指で「削除」
まるで
もう独りの私が
自分を試すかのように
燃えつき
擦れた匂いの
恋の終わり

「瞬間」

君が私に溢れ
泣いても
走馬灯のように
消えていくだけの「今」

君の記憶たどる今夜…
枕濡らし眠る今夜…

「さよなら」…

何度も
何度も

何度も
何度も

もう独りの私に
   云い聞かせ

君の面影たどる今夜…
折れた心抱いて眠る今夜…

「さよなら」…
              
何度も
何度も  

何度も
何度も

「さよなら」…

眠りに堕ちるまで…

何度も
何度も  

「サヨナラ」…
           

            

              ―紫紅草―

君を見ていた午後

君を見ていた午後
優しい陽射しが風と戯れ青葉を揺らす
テラスで飲むカプチーノ
浮かんだ湯気が
君にときめき
消えていく「時」と遊ぶ

君の瞳に声に
僕はTo languish in love
切なく
恋い焦がれた午後

もうこの場所に
留まり続ける事は止めよう
見つめるだけ恋は
孤独なだけの恋は
身も心も蝕まれてく
甘く苦しいだけのillusion


君を見ていた午後
テーブルをはさんで一輪のアジサイの花が
甘い香り漂わせ
君の笑顔に
僕はときめき
目が離せない胸が疼く

君の仕草に笑みに
僕はTo languish in love
切なく
恋い焦がれた午後

もうこの場所に
留まり続ける事は止めよう
誰も傷つけたくない
捧げられない愛は
身も心も蝕まれてく
甘く虚しいだけのillusion


君の横顔に髪に
僕はTo languish in love
切なく
君へFeeling of love
僕と君のmoment
  
  君を見つめていた午後…




              ―紫紅草―

Feelings of the blue

「サヨナラ」の言葉は
あなたとわたしのEndless
哀しみよりも深い
そう… Feelings of the blue
歩き始めた明日に
あなたは居ない
遠い黄昏に揺れていた
心のオアシスに生まれた小さな泉
想い出の雫で溢れ
「アイシテル」の言葉が
Monologue胸に響き続ける


「サヨナラ」の言葉は
あなたが残したEndless
振り返らない約束
そう… Feelings of the blue
涙こらえた明日に
あなたは居ない
薬指に残された指輪が
あなたとの最後の想い出だから
外すことはせめて許して
「アイシテル」の言葉が
Monologue胸に響き続ける


変わり始めたのはあなた
疑い始めたのはわたし
残酷な時間だけが過ぎていった
叶う事のない願いを
震えながら祈り続けた日々
今も「アイシテル」心に鳴り続ける


「サヨナラ」の言葉は
あなたとわたしのEndless
哀しみよりも深い
そう… Feelings of the blue
今も心に響き続ける



               

               ―紫紅草―

ゴミ箱へ「ポイ」

何処にも流れてゆけない憾じ
窮屈な煩悩
退屈な遺憾
醜くブザマな予感だけいつも当たって
毎日思い描く気持ちイイ事は常にゴミ箱へ「ポイ」
人生の墓場も酒場も焼け石に水のゴミ箱へ「ポイ」
最後のカードさえ泥沼にハマってゴミ箱へ「ポイ」
ゼンブ 「ツ・マ・ラ・ナ・イ」 
Good luckなんて生涯冬眠中

歪んだ小さな世界の暗闇の海へ逃げて逃げて
苦しくて泣いてもがいて嘆いて喚いて
誰も私の心に触れたりしない気づかないし振り向かない


不整脈な時間だけが過ぎていく
残忍な悪意
過激な思想
私の中に寄生する真実なんて
狂ったまま空回りするだけの現実はゴミ箱へ「ポイ」
偽善者の暴言に傷つく振りの純情はゴミ箱へ「ポイ」
嘘で固めた私の心が揺さぶられ涙はゴミ箱へ「ポイ」
スベテ 「ワ・ス・レ・タ・イ」
Good luckなんて生涯冬眠中

暗くて何も見えない誰かが追い駆けて来る恐怖
いくら走っても辿り着けないまま影だけが崩れ墜ちる
仕組まれた罠にカラダを切り刻まれる妄想に息を止めた

歪んだ小さな世界の暗闇の海へ逃げて逃げて
苦しくて泣いてもがいて嘆いて喚いて
誰も私の心に触れたりしない気づかないし振り向かない







                     ―紫紅草―